中山可穂『ケッヘル』上下巻、文春文庫。
読み応えがあって、ひじょうに おもしろい作品でした。
すでにお気づきの方もおられるかと思いますが
タイトルにある「ケッヘル」とは、モーツァルトの作品番号のこと。
物語のあちらこちらに、モーツァルトが溢れています。
章ごとに主人公が変わり、時代にもズレがあるのだけど
話がわからなくなることもなく、グイグイと引き込まれました。
最後の方で、なんだか犯人がわかっちゃって
ミステリーとしては、弱いような気もしますが
それぞれのキャラクターが光っているので、全てよし。
そしてやはり、女性同士の恋愛シーンを書かせたら
本当にうまいよね、中山可穂って。
キュンッてなっちゃう。
私が好きな一節。
伽椰と遠松鍵人の出会いのシーンで、極上のカスタードアイスクリームを食べたときの、伽椰の想い。
"それは人間の手で作られたとはとても思えないような、天使がせっせと夜なべして丹精したとしか思えないような、ヴィーナスのためいきのようなアイスクリームだった"
長いので引用はしませんが
伽椰が、初めてアンナのピアノ演奏を聴いたときの表現もすごい。
好きだなぁ、中山可穂。
読後は、めちゃめちゃモーツァルトが聴きたくなります。
「トルコ行進曲」「レクイエム」「オーボエ協奏曲」などなど・・・。
あ。
ちょうど1年前に、モーツァルトをサックスで吹いた音源がありますw
よかったら、コチラを聴いて下さいね。

『あなたがほしい』安達千夏、集英社文庫。
第22回すばる文学賞受賞作。
いきなり性行為の描写から始まるので、ビックリしますよ(笑)
簡単にまとめると、女性を愛しながら、男を抱く女の話。
(男に抱かれる・・・ではない)
「次の一歩を踏み出す」で終わってしまうので
その先が気になるなぁ。
続編、書いてくれないかな。
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