『納棺夫日記~増補改訂版~』 青木新門 文春文庫
前半3分の2が、この物語で
後半はこの本を書き上げて出版したあとのことが書かれています。
『おくりびと』は、この作品をきっかけに生まれた映画。
原作ではありません。
(映画『おくりびと』を観たときの日記はコチラ)
死体をアルコールで拭き、仏衣と称する白衣を着せ、
髪や顔を整え、手を組んで数珠を持たせ、
納棺するまでの一連の作業。
職業に貴賎はない・・・そう思っても
死そのものをタブー視する現実がある。
人は誰もが、死ぬときは美しく死にたいと思っている。
しかし美しく死ぬとはどのようなことなのか、はっきりしない。
ばくぜんと、長く寝込むことなく、痛みに苦しまず
ある日 突然 ポックリと死ぬことだ・・・
そう、なんとなく思っている人が多いのではないか。
鉛色の空、そして みぞれ。
岩手県出身の宮沢賢治の詩「永訣の朝」が、引用されています。
あめゆじゅ とてちて けんじゃ・・・
この詩は、私が中学生の頃、国語の授業で習いました。
今でもとってもよく覚えています。
死の間際で、あめゆじゅ(雨雪=みぞれ)をとってきてくれと
兄に願う妹。
『最期に願いをかなえてやった』という想いを残してもらうための
妹から兄への優しさを表す悲しくも美しい詩。
正岡子規の「病牀六尺」からも
「悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であつた」
うーん。。。
死を考えることで、生きることをもっともっと考える一冊となりました。
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