初めから失っていたんだ。

mubansou.jpg 『無伴奏』 小池真理子 新潮文庫

学園紛争、デモ、反戦フォーク集会などが出てくる1960年代の話なので、時代風景は少しわからないこともあったのですが、そんなことも気にならないぐらい、感情移入して読めました。
荘厳なバロック音楽の流れる喫茶店「無伴奏」での出会いから、悲しい悲劇、そして20年後・・・。
この喫茶店で流れる音楽として、私の好きな「パッヘルベルのカノン」が何度も出てきます。
悲劇に関しては、私は途中で予想できましたっ(ネタばれすると、これから読む人に悪いので書かないけど)
悲劇の発端となった、4人の根本にひそんでいた事実も、はじめの方で気がつきましたよん。ヒントはチャイコフスキーの『悲愴』
私もそんな現場を見ちゃったら、そうとうショックを受けるだろうなぁ~。。。むふふ。

主人公響子の18歳の誕生日、感想を聞かれた響子が
「小学生のころは、二十になったら死のうと思ってたの、あと2年ね」
そんなセリフがあって、ドキッとしました。
私もこどもの頃、全く同じことを思っていたから。
今は・・・なりたくなかった大人になったんだろうか。
それともちゃんと、なりたい大人になれたんだろうか。

石田衣良のあとがきを読み、さっそく同じく小池氏の直木賞受賞作「恋」を今日から読み始めました。しょっぱなから、ぐいぐい引き込まれそうな勢いです。
直木賞といえば、今日の夕方、発表があり・・・今回は該当者なしだそうですね。そうかなぁ。いい作家、いっぱいいるのになぁ。
芥川賞は、青山七恵さんの「ひとり日和」に決まったそうです。(。・ω・)ノ *:・・:*おめでと~:・・:*

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